アール座読書館

現実逃避の対極にあるものを考えてみると、その象徴として「to doリスト」なんてものが思い浮かんだりもします。僕もずっと多用している、物事を計画的に運ぶために、目標に一歩一歩迫るために無くてはならない重要なものです。アール座の僕の仕事なんかは実のところ、会社で言う総務みたいな仕事がメインだったりします。何処かの機器や器具什器が故障したり、何かしらが消耗してそのシステムの動きが滞ったりと、絶え間なく交互に訪れる管理、補修業務が仕事の大半だったりするんですが、もうこのリストがそれでひたすら埋め尽くされ続けます。 でも世の中の数ある職種のほとんどにはこれが必要だったりするんじゃないでしょうか。無数のタスクを処理し続けていく要素が少なからず必要なお仕事の方が現代では普通なんだと思います。 僕なんかはスマホや手帳の上で永遠に続くとも思われるそれに、ヘタをすると人生そのものを持っていかれるような恐さを時々感じたりすることがあります。本当の自分は何がしたいのか、最終的にはどうなりたいのか、自分は何のために生まれて来たのか、みたいな大きな視点がto doリストに埋もれてぼやけて分からなくなったまま人生が終わっちゃったらどうしよう…みたいな恐怖感が随分前からあって、それがこの店を作った動機の一つにもなっています。 間違いや迷いを許さないマニュアル化された社会環境が強要してくるこの「やるべきこと」という意識こそ「現実逃避」という言葉に使われている「現実」の部分のような気がしてなりません。 何をやるにも「正しい筋道」や「まっとうな方法」というものが「現実」であるとして、目の前に突きつけられている気がしちゃうんです。特にこの国は。